お墓の選び方

お墓選びの流れと注意点。全過程を徹底解説!

お墓は終の住処と言われるように、日常的生活の中ではあまり馴染みはありません。
一生に一度あるかないかの買い物になります。
お墓を買う必要がある方にとっては、日常的にお墓参りに行く習慣もない方が多く、お墓の知識なんてなくて当然だと思います。

その状態で100万円を超えるような買物をすることになります。いちど建ててしまうと建て替えや引っ越しも簡単にできる物ではない為、こんな筈じゃなかったのにとならないよう慎重に選ぶ必要があると思います。

ここでは、一般的なお墓を選ぶ手順や流れ、注意点などを解説していきます。

お寺や霊園の候補を挙げる

まずはお墓を建てる場所を決める必要があります。お墓と言っても寺院墓地もあれば、公営霊園、民営霊園などを代表に色々な形態があります。墓地の管理形態により選ぶ順番や自由度が全く違うので、個別の霊園を選ぶ前にそれぞれの特徴を理解して、ご自身の家の状況に合った墓地を選ぶ必要があります。

管理形態って?

墓を建てる場所は大きく3つに分けることができます。詳しい違いは下記の記事でご紹介しています。

公営霊園

公営霊園は管理運営の主体が自治体になります。経営破綻する心配がないことや、管理費がやすい傾向にある一方で、申し込みには条件や制限があったり、抽選で割り当てになることが多いので区画が決まるまでに時間と労力をがかかります。
お墓を建てるにあたっては石材店の指定や制限はないことが多く、相見積もりで墓石を安く抑えられることもあります。

民営霊園

民営霊園はガーデニング墓地や公園墓地などコンセプトを持って綺麗に作られていることが多いです。
区画は先着順で、空いている区画であればその日にでも契約が可能です。
民間開発会社や石材店組合があり、石材店が指定されていたり、経営はあくまで民間なので、財務状況が悪くなると管理の質が落ちる等、経営上のリスクがあります。

寺院墓地

寺院墓地はお寺の境内にあるお墓を持つことです。民営霊園と同じく区画は先着順で選ぶことが可能です。
お寺のほとんどは特定の宗派に属しており、檀家になりそのお寺の宗派の作法で供養することが条件となります。

公営霊園か民営霊園か
公営霊園と民営霊園の違い

資料請求をする

墓地の候補が決まったら資料請求を行います。

お墓の業界には指定石材店制度というものがあり、会社ごとに取り扱える霊園が限られている為、情報が集めにくい傾向があります。
以下のようなまとめて資料請求ができるサイトが便利です。

実際の購入者の口コミなど詳細な情報から霊園を探せる「いいお墓」

ただし、原則霊園ごとに違った石材店から資料が送られてきて、その後に営業の電話がかかってきます。資料請求しすぎると資料が到着した頃に大量の営業電話がかかってくることになりますので、資料請求のしすぎにはご注意ください。

指定石材店ってなに

資料請求をする際には以下のようなことに注意します。

たくさんある霊園から候補を絞り込む

インターネットでお墓を調べるとたくさんの霊園や寺院が出てきます。その中から自分に合った墓地を見つけていきます。1日で見学できる墓地は頑張っても3~4箇所程度なので、事前に現地を見学したい寺院や霊園を絞り込む必要があります。

自宅からの距離

購入後、お墓参りをするうえで自宅からの距離は重要になります。
自宅からの距離によりお参りの頻度が変わりますし、今の基準だけではなく将来自分が高齢になってもお参りができるかどうかも大事な基準になります。
駐車場から階段があることや、車が運転できなくなった時に、電車やバスで行けるのか、その際のバス停からのルート等も確認しておくことが賢明です。
一般的に自宅からの距離や所要時間によりお参りの頻度が大きく変わります。

価格帯

お墓を求める上で重要な基準となります。
自分の予算でどのようなお墓が建てられるのかの基準になります。
比較サイトには、区画の面積ごとの永代使用料又は、最低料金の墓石代込みの料金が記載されていることが多いです。霊園間の比較の際は!同じ面積の区画区画で料金の比較をするようにしてください。目玉商品のように、1箇所だけ極端に安い設定している場合もありますのでご注意ください。

妥協してはいけない
お墓選びで金額を左右する4つの要素。後悔せずに費用を抑えるには?

宗派などの条件

寺院墓地の場合は原則檀家となりその宗派の作法に従って供養することが条件となります。
霊園の場合は宗派を問わない場合も多くありますが、在来仏教のみというような決まりがある場合も多くありますのでご注意ください。

実際に現地見学に行く

資料を請求した中で比較検討し、3〜5ヶ所ぐらいの霊園を実際見に行くことになると思います。
大手石材店であれば取り扱い霊園が多いので、同じ営業マンと一緒に1日で3〜4ヶ所の霊園を回ることも可能です。
また、担当営業からの比較意見を聞くことが出来るのもメリットではないでしょうか。

お墓選びにおける最大のデメリットは、冷静に比較検討がしにくいところにあります。
原則、見に行ったお寺や霊園ごとに案内する石材店が違うため、セールストークの上手い下手や考え方の違いがある為です。
消費者側としては、自分にとって何が一番重要なのかを整理して、数値化できるものは数値化して比較基準を明確にすることが大事です。

お墓を建てる霊園が決まったら

お墓を建てる霊園が決まったら、いよいよお墓そのものを決めることになります。規模が大きな霊園であれば同じ霊園内でも区画の場所により環境が大きく違うことがあります。

区画を決める

買う区画が決まったら、まずは墓地の管理者に区画の申し込みをします。区画の永代使用料はお寺や霊園に払います。
公営霊園では、抽選に当たった区画を確認し、そこでよければ申し込みを行い、条件に合わなければキャンセルして権利を放棄します。

区画の面積

永代使用料は面積により料金が決まっている場合が多いです。
言うまでもありませんが、区画は広くなるほど永代使用料は高くなります。

石種

石の種類を決めます。
霊園の料金表などには、カタログに20〜30種類が記載されている場合が多く、一般的に白御影、グレー御影、黒御影の順に、外国産より国産の石の方が金額が高い傾向にあります。
石を選ぶ基準は以下の記事で紹介しています。

墓石の選び方

デザイン

デザインを決めます。大きく和型、洋型、その他デザイン墓に分かれます。

寺院墓地においては、古いお墓が多くある為伝統的な形である和型の墓所の比率が多いのが一般的です。寺院墓地でも洋型でお墓を建てられる場合も多いので、事前に確認をしてみてください。

民営霊園においては、ガーデニング墓地など公園や海外の庭園のように整備されている場所が多く、洋型の墓所が多くあります。逆に景観維持の為、和型の墓石や塔婆の高さ制限がある場合があり希望通りに建てられない場合も多いこともあり、洋型墓石の割合が高くなっています。

公営霊園においては、比較的自由に建てられる為、和型も洋型も多く見られます。

原則として、墓石の金額は墓石の種類単価(才単価)×使用量で決まります。
墓石の量のは「才(さい)」という単位で表され、1才は30cm×30cm×30cmの立方体です。

デザインにもランクがある

デザイン墓は、あまり多くなく比較的自由な公営霊園であっても1割もないイメージです。

和型、洋型に共通して、多くの場合加工デザインにランクが存在しています。
標準加工、高級型、最高級型というような表現で料金設定がされています。
例えば、標準加工が角ばった加工であれば、上位ランクでは角を丸める加工や、水垂れ、香箱といった追加の加工がされています。

見た目が変わるのはもちろん、水が流れやすくなることで、水垢等の汚れも付きにくくなったり、お参りの時に荷物等をぶつけてしまっても角が欠けにくいなどのメリットがあります。

彫刻を決める

石種を決めたら次は彫刻内容の打ち合わせになります。和型であれば文字の内容や時のフォントが中心になりますが、洋型は正面の面積が広く、花や好きな文字などを彫刻できます。

洋型墓所の彫刻は選択肢が多くなかなかその場で決まるものではないので、納骨日が決まっているような場合は、事前に家の近くの墓地でどんなお墓があって、どんな彫刻をしてあるのか見ておくとイメージしやすいと思います。また、戒名や家紋を彫刻する場合は事前にお寺に戒名を確認したり、家紋の確認も行っておくとスムーズに依頼ができます。

石材店にイメージを伝えると後日彫刻原稿が送られてきますので、内容を確認して問題なければ石材店に最終依頼をします。
特に戒名の漢字等は間違えて彫ってしまうと容易に修正ができない為、一文字一文字間違いがないか確認をしてください。

完成確認

お墓が完成すると、完成・引き渡しを受けます。
石材店や石種により一概には言えませんが、概ね発注後90日程度で完成します。

図面通りに施工されているか、墓石の欠けや傷、文字彫刻に間違いはないか等確認をします。
特に傷などはいつついた傷かを証明しにくい為、引き渡しのサインをした後に気づくと補修が有償になる可能性があるのでご注意ください。

埋葬

お墓の引き渡しが済んだら、お骨が手元にある場合は納骨を行います。
納骨はお墓を建てた石材店か、霊園のスタッフが行います。一般的には葬儀の時にお世話になったお寺に依頼して墓前でお経をあげてもらいます。
お墓を建てて初めて納骨をする時には、開眼法要(魂入れ)を行うのが一般的であり、お布施の相場も通常の埋葬式より高めです。

あくまで私の感覚ですが、埋葬式が3万〜5万円のイメージであれば、開眼法要をやると5万円〜10万円のようなイメージになります。お寺に聞きにくければ石材店等に聞いてみると安心して臨めると思います。
また、お寺の境内墓地でなく霊園まで来てもらった場合はお車代を包むのもマナーです。

霊園では、必ずしもお寺にお経を依頼しなくても納骨できる場合もありますので、事前に確認してみてください。納骨してくれた石材店の職人に対する心づけを渡す習慣もありますが、あくまで納骨料金は支払っていますので、あくまで任意のものになります。

埋葬後の会食

普段会えない親族が集まることも多く、納骨式を終えた後は会食を行うことがも多くあります。
お寺であれば客殿にケータリングを頼めたり、民営霊園であれば会食のホールを持っている場合があります。

公営霊園の都立多磨霊園では、霊園に会食設備はありませんが、門前の石材店が会食スペースを貸し出していることがあります。埋葬の予約と同時にケータリングも等の食事の予約も出来る為、手続きが楽になります。
お墓を建てたお客さんに限りますが、会食場所に困るようであればお墓を建てる際に門前の石材店を検討してみるのも一つだと思います。

まとめ

お墓を建てるところから、納骨を終えるまでの流れを解説させて頂きましたが如何だったでしょうか。
特にお墓の完成後に発生する納骨料や開眼法要なんかまで予算を考慮してない方は多く予定外の出費と感じる方が多いようです。

大事なことではありますが、葬儀から納骨までを一緒に行うと、悲しみに暮れる暇もないぐらいにやることが多く、精神的にも経済的にも非常に大変な想いをされると思います。

事前に流れや費用のかかり方や、何を決めないといけないのか、どういう流れで進んでいくのかを知っているだけで気持ちが楽になりますので、お是非役立て頂ければ幸いです。

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