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石を選ぶ基準
お墓を建てる場所が決まったら、次は石を選ぶことになります。
例えば、車であればカタログに外観や内装の写真はもちろん、馬力や燃費まで見えない部分まで詳細な情報が掲載されていますよね。
墓石に至っては、実際よくわかりませんよね。
それなのに、値段は石によって10倍以上違ってくることもあります。
石材店の人に聞くと、だいたいこういう答えが返ってくるでしょうか。
石の硬さ
吸水率
目の細かさ
石の色
石の硬さ
一般的に硬度といわれる数字で表されます。600N/㎠というような数値で出ていますがぶっちゃけ売っている側もよくわかりません。できるのは他の石と数値を比較して、こっちの方が硬いねと比較するぐらいでしょうか。
硬い石の方が劣化しにくいという話はわかります。100年使うものなので耐久性の高い石が良いですよ。というのがセールストークになるでしょうか。
歴史上有名な方のお墓なんかで、いわゆる古石塔と言われる風化してボロボロになるような石は、昔は加工機械がなかった為、柔らかい安山岩という石を使っていることが多かったのです。
現在は花崗岩、いわゆる御影石を使うことがほとんどです。そもそも別物の石なので、そこをごっちゃにして比較してボロボロになるのを心配するのは違う話だと思います。
確かに、嘘でもないですし間違いでもないでしょうが、そこらへんをごっちゃにして硬い石が良いと値段の高い石を勧めてくる石屋さんはからは買わない方が良いのかなって思います。
吸水率
これも数値化されています。個人的には硬さよりも吸水率の方が重要かなと思います。
私が案内の時によくしていた説明は、
水は凍ると膨張します。缶ビールなんかを冷凍庫に入れると膨張して破裂しますよね。墓石は夏には表面が60度以上になったり冬には氷点下になる環境に耐えなければいけません。石にはや多くの水が染み込んだ状態で凍ってしまうと劣化が早まるのは容易に想像できますよね。
そういうことなのですが、実際に何十年比較してデータ取ったことのある人はいるのでしょうか。
石の磨きのツヤが飛びやすいぐらいの差はあるのでしょうが、私はそこまで神経質に吸水率の数字を追い掛け回す必要はないと思います。
ただし、目に見えてわかることがあります。
墓石は自然の中にある石を加工したものなので、雨が降ると水を吸い込み、雨が止むと吐き出します。
ですので、目に見えて起こるのは、水分を吸収してる場所の色が少し濃くなるんです。
水が染み込んでるんだなーって見てわかります。これは石により顕著に出ます。
雨上がりやお参りした後の墓石でよくこうゆうセールストークをしますよね。
水が染み込んだ石を見せて、水が染み込みにくいより高い石を勧めるような人もいます。
実際最高級と言われる庵治石でも水が染みれば色は変わりますので、私はそんなに気にする必要はないと思います。
目の細かさ
これも硬さと吸水率に行き着くのですが、目の細かい石の方が、石の密度が高いので良い石だ。という考え方でしょうか。
石を選ぶ際には、細目(さいめ)や中目(ちゅうめ)という言葉がついている場合がありますが、だいたい細目の方が高かったりします。
個人的な好みで言えば、目の細かい石の方が戒名なんかを彫刻した時に見やすいですし、見た目も美しいように私は感じるのである程度石目が細かい方が良いように感じます。
しかしながら、そこまで品質に影響するとも思えないので、最終的には好みの問題だと思います。
石の色
色は非常に重要な要素だと思います。
選ぶ色によって見た目が全く別物になるのですから。
墓石の価格の傾向として、白御影が一番安く、中間がグレーの石、黒御影が一番高いイメージです。
他にも、比重が異なり、白御影と比較して黒御影の方が比重が大きく、全く同じ大きさの石でも1.5倍ぐらいの重量があるという特徴もあります。
あくまで傾向なので、これに石の産地や希少性という要素が加わって石の価格となります
日本国内では黒御影がほとんど採掘されない為、黒御影はインドやスウェーデンといった海外が中心になります。
何を一番重視すれば失敗しない?
上記で色々基準のお話をしましたが、数値を比較したところでよくわからないし、大きな差はないように思います。
それよりも重要なのは、墓石として使用した実績がどうかだと思います。
墓石真価が問われるのは、建てて10年、20年経過した時にどうなっているかです。
例えば、最近採掘され始めて石目がとても綺麗なんです。と勧められたような石でも。
数年後にサビが出ました
数年後に変色しました
そんなことはよくあります。そもそも自然の中にあった物を切って、磨いて加工したのが墓石です。
石に鉄分が含まれていて、それが水や空気に触れることで茶色いサビが出るとか、建墓当初は真っ黒だった黒御影が紫外線や風雨にさらされることで茶色っぽく変化してしまった。
そんな過去の事例を山ほど聞きましたし、そういったお墓も実際によく見かけました。
石材店の営業をやっていた時の研修で言われたことは、
クレームになりにくい石を売るようにしよう。
つまり、経年変化が激しい石やサビが出やすい石は売らないことで、クレームを極力出さない、つまりお客さんの立場でも後悔するようなことがないということです。
実際の数値がどうこうよりも、過去何十年にわたり使われている石で経年変化が少ないのが実証されている石の方がよっぽど安心ですよね。
そんな基準を持つのも有効で、過去から長く使われている実績のある石がいいと案内してくれる営業担当者に伝えれば、教えてくれると思います。
営業マンに言えば、実際に建っている長く使用されている石を見せてくれるかもしれません。
そういった目線で石選びをされると、後悔するようなことにはならないのではないかと思います。
是非、墓石選びの参考にして頂ければと思います。