お墓を引っ越したいけど古いお墓は売ることができるの?
お墓の引っ越しを検討されていた方から、こんな質問を受けることがありました。
霊園なんかで、「分譲」という言葉を目にすると思いますが、お墓の契約というのは土地の所有権を購入する訳ではなく、お墓を建てる区画を使用する権利を買うこと、つまり借りることなのです。
墓地の区画は更地にして返還しなければいけない
お墓を使用しなくなった場合は、手続きを踏んで墓地の管理者に返還することとなります。
古いお墓で使用していた墓石は使えるの?
石材店や墓地管理者側の事情
民間の霊園は、お寺などの宗教法人に申請の母体になってもらい、販売に関わる石材店組合で保証金を出し合って霊園の管理棟や通路など、設備の工事をします。
石材店にしてみれば、墓石を売らないと利益になりません。霊園開発に参加する為に最初に保証金を出してお墓を売る権利を買っていることになるので、墓石を持ち込むことで石材の販売価格が下がってしまうと商売が成り立たないんですね。
寺院墓地や公営霊園では、上記のような手数料がない場合もあり対応してくれることが多いように思います。
田舎に思い入れのある墓石があり、移設をしたい場合は事前に可能かどうか確認をしておく必要があります。
上記の理由から石材店が主体である民間霊園では持ち込みが難しいですが、地方公共団体が運営する公営墓地やお寺が管理をする寺院墓地では比較的持ち込みがしやすい傾向にあります。
民営霊園の指定石材店の仕組みは以下の記事で解説しています。
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指定石材店ってなに
移設先の区画の形に合わない
お墓は基本的にお墓を建てる区画に合わせてオーダーメイドで設計していきます。
石碑にあたる部分の移設先での使用は可能な場合が多いですが、外柵や納骨棺の部分は区画にあわせて新たに設計して作らなければいけないことがほとんどです。
墓石を再利用できても費用を抑える効果は低い
工事は個別に設計図面を作ってフルオーダーメイドの工事になります。
移設を行う場合は、見積を行う前段階で移設前のお墓の下見をしたうえで設計を行うこととなります。古いお墓が遠くにある場合は見積を作ってもらうだけでも出張費用がかかるような場合もあります。
古いお墓の墓石の解体や、新たなお墓への運搬などの費用もかかる為、新たに墓石を購入してイチからお墓を建てるよりもお金がかかることもよくあります。
古いお墓を返還するにも費用がかかる
返還をする場合は更地にしてから返還をする必要があります。
石材店に依頼して墓地の解体工事をしなければ返還が出来ない仕組みになっています。
墓石自体の廃棄にお金がかかるうえに、工事が必要になりますので費用が高額になりがちなので注意が必要です。
まとめ
お墓の引っ越しは、住宅のように売却が出来ないうえに中古で他の人が使うということも出来ない為、新たに墓所を購入するよりはるかにお金がかかることがあります。
石材店によって設計の提案も見積金額もバラバラになることが多いので、移設こそじっくりと比較をして検討してくださいね。