日本のお墓といえば、和型か洋型のどちらかに分類されることが多いです。
和型と洋型は墓石の形が大きく違い、見た目はもちろんお墓に対するイメージも変わってくるのではないでしょうか。最近は多くの寺院で洋型の墓石を見かけますし、洋型以外のデザイン墓石にも寛容になりつつありますが、お寺の場合は管理者の考え方により制約がある場合もありますので注意が必要です。
和型と洋型の違いについてお話ししていきます。
和型と洋型の違い
和型と洋型の一番大きな違いは、縦長と横長で形にあると言えます。宗派により和型や五輪塔が推奨される場合はありますが、原則として仏教が意味している「地・水・火・風・空」の5段の構造は同じであり、宗教的に違いははいと考えて差し支えないと思います。
形の違いから特に彫刻の仕方に大きな違いがあります。それぞれ特徴を見ていきましょう。
和型の特徴
縦長のお墓の形のになります。
正面に家名や各宗派のお題目を彫刻するのが一般的です。○○家の墓、先祖代々之墓、南無阿弥陀、南無法蓮華経など
縦長ですので基本的に字は縦に読み、イラストなどの彫刻はしないのが一般的です。
和型のお墓でイラストを彫刻しているお墓はあまり見かけません。
洋型の特徴
横長のお墓の形になります。
正面の面積が広いので、比較的自由に彫刻をデザインできます。漢字、平仮名、英語など自由にデザインができます。
文字以外にも、花を額のようにデザインしたり、好きな言葉を彫刻しても違和感がなく、自由度が高いのがメリットです。
洋型のお墓を希望する場合、一番悩むのが正面の彫刻に何を彫るかです。家名や好きな言葉の他に花、動物のイラストなど想像力次第で何でも彫れてしまいます。
珍しいところだと富士山やゴルフのイラスト等もありました。
自由度が高いゆえに悩むお客さん多いです。
また、言葉だけで伝えたものがイメージ通りのデザインで上がってくることも少ないので、何度も修正のやり取りを重ね、気がつくと1ヶ月ぐらいかかっていることもあります。
見本となる彫刻は石材店以外にもたくさんあります。インターネットで「お墓 彫刻」と検索するだけで相当数出てきますし、実際に近所の霊園に見に行くと良いと思います。
気に入ったものがあれば、写真を撮り打ち合わせの時に渡すとイメージに近い原稿になります。
戒名の彫刻
戒名の彫刻位置も和型と洋型で違いがあります。
和型は一番上の竿石の左右側面に戒名の彫刻をします。建立者や建立日は竿石の背面に彫刻するのが一般的です。
これに対して洋型は、一番上の竿石の背面に彫刻するのが一般的です。建立者名、建立日は右側側面に彫刻をします。
まわりのお墓の状況により、背面にお墓や壁があり回り込めない場合は、墓誌を置いたり納骨棺の蓋部分に彫刻をする場合も多くあります。
最近は面積が小さく左右や背面にも密集してお墓が建てられることも多く、棹石の背面に戒名を彫刻しても見えないこともよくあります。
戒名彫刻は棹石以外にも、墓誌や蓋石に彫刻されることも多くあります。
和型にも洋型にも共通する部分
和型と洋型では、石碑部分に見た目の大きな違いがありますが、外柵や納骨棺部分は同じ形であることが多いです。
和型と洋型の比率
和型と洋型の比率は、和型が4割、洋型が5割、その他デザイン墓が1割ぐらいの感覚です。
伝統を重視する方に和型、デザインや彫刻などにこだわりたい方は洋型を選ぶ傾向にあるように思います。
寺院墓地では和型が多い
寺院墓地では和型を選ぶ方が多いです。古くからあるお墓も多い点や、伝統や仏教の教えを重んじる点が理由にあるのではないかと思います。
最近では、寺院墓地でも洋型のお墓も建てられる場合も多く、実際によく見かけますので、お寺に相談してみてください。
民営霊園では圧倒的に洋型が多い
民営霊園では洋型のお墓がよく見られます。
公園風や西洋の庭園風など、コンセプトをもって整備されている場合が多く、景観の統一感を出すために高さ制限を設けている霊園も多くあります。
そうなると、一般的な和型墓所より、30〜50㎝程度高さが低くなり違和感が出てしまうのも要因としてあるのかと思います。
また、卒塔婆の長さ制限を設けている霊園もあります。
公営霊園はバラエティ豊か
公営霊園の一般墓所といわれる区画では、お墓の形に規定は少なめで、宗旨宗派の規制もなく比較的自由に建てられます。
さらに、石材店の指定もなく自由に選べる為、デザイン墓石が得意な石材店を探して依頼することも可能です。
その為お墓の形も様々なものがあります。
まとめ
霊園の見学をしている時点では和型か洋型どちらにするかのイメージは既に持っているお客さんが多かったように思います。
文字彫刻は決まりごとに従って彫刻をするので、字体で悩む程度であまり時間はかかりませんが、洋型の正面彫刻をどうするは悩み時間が
かかることが多くありました。
一度彫るとずっと残るものなので妥協すべきではありませんが、何度も原稿の修正依頼をすると時間もかかるし担当者に悪いなという気持ちも出てきてしまいます。
むしろ悩んで当然の物なので、石材店任せにせず自分で色々なお墓を見ることで、ああしておけば良かったと後悔せずに済むと思います。