近年は墓石を建てる一般墓の他に、永代供養墓や樹木墓地、海洋散骨から宇宙葬まで様々な供養の方法が生まれてきていて、選択肢が非常に多くなってきています。
少し前までは、納骨後の管理を必要としない永代供養墓をはじめとした納骨方法は、継承者がいない人の為の納骨方法であるというようなイメージが強くありました。
しかしながら、最近では立派な子供がいるにも関わらず墓石を建てずに永代供養墓や樹木葬を選ぶ方が増えてきました。
理由を尋ねるとほとんどの方から子供に負担をかけたくないという答えがかえってきます。
お墓を持つということは子供にとって負担なのでしょうか。
ここではお墓が負担になってしまう理由について解説します。
お墓は代々引き継がれれば負担だとは思わない
お墓の区画を借りる際に出てくる「永代使用料」という言葉からイメージできるように、お墓は代々継承され引き継がれていく前提で建てられるものです。継承者がいる限り永代にわたり使用できるという意味合いがあります。
お墓が代々引き継がれていく前提さえ崩れなければ、先祖代々の家族が同じ場所に眠り家として続いていきます。
そして自分や自分の配偶者、子供の納骨先が確保されているということになります。
毎年の管理費や納骨時には別途費用こそかかりますが、お墓があることで新たにお墓を準備する手間も費用もかかりません。墓石は一度建てれば100年~200年程度使用出来るので一人当たりで考えれば大きな負担には感じないはずです。
しかしながら、代々引き継がれるという前提が崩れた時にお墓は重荷になってしまいます。
単身者にとってお墓は負担でしかない
単身者や子供がいない家庭にとってのお墓とはどのような存在になるのでしょうか。
お墓はご先祖様が眠る場所という意味では継承者がいる方と何も変わりません。
しかし、いざ自分が死んだ時のことを考えた時、大きな負担になります。
管理されないお墓は無縁墓になる
ご先祖様からしたお墓が結婚しなかった、子供がいないなど理由は様々ですが、継承者がいなければ自分自身に何かあるとお墓の管理が出来なくなります。
一般的にはお墓を継ぐ人がいなくなり管理費が支払われなくなると、そのお墓は無縁仏として扱われます。
無縁仏になると、お参りや清掃がされなくなり雑草や樹木が伸びてきて墓石を動かしてしまうことがあります。
また、風化や災害により墓石が破損しても補修されることもないので、周囲のお墓に被害を出してしまうこともあります。
そうならない為に、一般的には維持管理ができなくなる前に「墓じまい」を行うのが望ましいとされています。
無縁仏になるとどうなるのかはこちらの記事でも紹介しています。
無縁仏になったらどうなるの?
墓じまいをするには高額の費用がかかる
墓じまいを行う為には多くの費用がかかります。
お墓に入っているお骨を永代供養墓に移す費用として1霊あたり10万円~20万円
※解体工事は解体するお墓の大きさにより費用が決まります。
※お墓の中に入っているお骨の数により永代供養の費用が変わります。
自分は結婚しなかっただけなのに、昔の人たちが作った制度の為に100万円以上の費用を負担を強いられる。
当人にとっては理不尽極まりないと感じても無理はないのではないのでしょうか。
実際に自分の生活に余裕がなく、墓じまいの費用を捻出できない人も多いのではないかと思います。
「ご先祖様が入っているお墓が無縁仏になるのは忍びない」とか「無縁仏になればお寺に迷惑をかける」など、誰かに相談をすればいわゆる「一般論」で墓じまいを勧められることとなります。お墓の管理を放棄しようものなら人間性を疑われるようなことを言われるかもしれませんね。
これが当事者を非常に苦しめることになってしまいます。
出来るものならきちんと供養をしたい。というのが共通の想いなのではないかと思います。
近い将来無縁仏が増加して大きな問題になる
現在の日本では、晩婚化とともに生涯未婚率が右肩上がりに増加しています。
2040年には3人に1人は生涯未婚なんて予測データも出ていますよね。
4人や5人兄弟が当たり前の時代であればお墓の承継に困ることはありませんでしたが、未婚であったり子供がいない家庭も増えています。
そうなれば継承する人がいなくなり相当な数のお墓が余るのが避けられないのは明白ですよね。
適切に墓じまいを行うのが望ましいですが、経済的に墓じまいを行えない家庭も少なくないでしょう。
そうなるとお墓参りの足も遠のいてしまい結果として放置され無縁仏が増加して将来的に大きな問題になります。
まとめ
現在の日本では少子高齢化だけでなく、晩婚化や未婚化が進んでいます。
未婚となった人の中には就職氷河期を経験して経済的な理由で結婚をあきらめた人も多くいるはずです。そんな人たちに過去の風習やそこから生まれる負担を押し付けるのが果たして正しいのでしょうか。現在の仕組みにおいては、墓じまいの費用を払えなければ放置して無縁仏になるしかありません。
本人も罪悪感を背負って残りの人生を背負うことになってしまいます。
お墓の制度はこういった時代背景に合わせて、納骨後の管理を必要としない永代供養墓や樹木葬といった新しい形の納骨方法が浸透しつつあります。
将来的な負担を考えると、このままではお墓離れは間違いなく加速していくと思います。
今現在、子供がいてお墓の継承に不安はなかったとしても、孫世代が結婚してその先に引き継げる保証なんてどこにもありません。
墓じまいを迫られ大きな負担になることを思うと、最初から永代供養墓を選択する十分な理由になるのではないかと思います。
時代の変化にあわせて救済される仕組みが出来上がることを切に願っています。
現在の仕組みの中で一番費用をかけずに墓じまいを行える方法は下記でご紹介しています。