石材店をはじめとする供養産業と言われる業界は特殊な業界であるというイメージが強いと思います。特殊な部分も多くありますが会社としてサービスを提供し利益を出していくという意味では普通の会社です。
ここでは石材店の社内事情について解説します。
石材店とは
一般的な石材店は、一般のお客さんから依頼を受けてお墓を建てるのが仕事です。
家族経営の小さな石材店では営業から工事まで全てを担いますが中規模以上になれ普通の会社のように部署による、役割分担が行われています。
会社の内部はどのように役割分担されているのでしょうか。
石材店における主な仕事
一言で石材店と言っても仕事は多岐に渡ります。会社の仕組みは他の業界と大きな違いはありません。
大きく営業部、施工部、事務部門に分かれていることが多く、それぞれの会社のやり方で必要に応じて細分化されています。
営業
墓石の販売においてももちろん営業職が存在しています。
お墓の問い合わせから引き渡しまでの打ち合わせや代金のやり取りを行うのは営業担当の人です。
営業はお墓を求めるお客さんを連れてきて契約を取るのが仕事であり、会社の存続にとって一番重要な仕事です。
お寺を回り紹介を貰ったり、WEBやチラシからの反響、葬儀社からの紹介などのきっかけを駆使して契約に繋げていきます。
営業の仕事は広く、お客さんとの商談の中で要望を聞き取り商社に図面を依頼、石種の決定、お客さんとの契約、霊園やお寺との手続き・調整、石材の発注、墓石への彫刻の打ち合わせ、埋葬のスケジュール調整など、施工以外のほとんどの工程に関わります。
営業職の仕事についてはこちらの記事でも紹介しています。
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石材店の営業マンはどんな仕事をしてるの?
施工
施工の仕事とは、受注したお墓を実際に建てるのが仕事で多くの石材店が施工部門を持っています。
石材は非常に重量が重い為、クレーンがついたトラックやカニクレーンと言われる移動式のクレーンを使用します。
出勤後、施工現場までトラックで移動をしてから作業を行い、終了後資材置き場まで戻り片付けや翌日の積み込みまで行と労働時間は長くなりがちです。
近年は職人のなり手が少なく、仕事のキツさから定着しづらいのが問題となっています。
職人の仕事についてはこちらの記事でも紹介しています。
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石材店の職人はどんな仕事をしているの?
事務・経理
どんな業種であっても必要な部門で、契約書類の作成や帳簿処理などを行います。
事務処理がメインではありますが、営業や施工以外のことは何でも担うのが一般的です。
営業担当者が個人のお客さんとの商談や引き渡し、お寺や葬儀社へのルート営業など、ほとんど事務所にいないことも多い為、営業の社内事務を行うこもとあります。
また、会社のそばに資材置き場がある場合は、納品後の検品をしたり、ショールーム等があれば来客対応をして営業マンに引き継ぐこともあります。
テレアポ
入手した見込み客のリストに電話をかけて潜在顧客を見つけてアポイントを取るのが仕事です。大きな会社ではテレアポを専門に行う部署もあるようです。
どこからか入手した電話番号リストにどんどん電話をかける場合と、資料請求のあったお客さんにアポイントを取る場合がありやり方が異なります。
霊園の案内係
霊園に待機をして、チラシやホームページを見て見学に来たお客さんに対して墓石の案内を行います。完全に待ちの営業方法になるので、少しでも利益率や単価の高い石を勧めて売上や利益を上げることが求められます。
案内係としてはお客さんが来るのを待つしかない状況なので時間には余裕があり、接客している時間以外は別の仕事をしたり読書をしたり、会社によっては自由に過ごすことができます。
反面、接客できる機会が少ないので限られたお客さんで成果を上げないといけないプレッシャーがあります。
霊園の待機は営業社員がシフトを組んで持ち回りで対応している会社もあります。
寺院への出向
大きなお寺に対しては、石材店から墓地管理の事務の出向を行う場合があります。
寺院にとっては人件費を払うことなく事務員の確保ができ、石材店にとってはお寺に来たお墓の問い合わせを総取りできるメリットがあります。
まとめ
お墓の業界は特殊な部分もたくさんありますが、お客さんを見つけてお墓の工事契約を取り利益を上げていくという会社としての本質は変わりません。
1件あたりの利益額や利益率は比較的高い業界ですが、日々たくさんの契約を取れる訳ではありません。
お寺等や葬儀社等からの紹介への依存度が高いので、紹介を貰うための間接的な営業活動に使う時間が多いのが特徴です。
お客さん側もお墓や供養に関して詳しい人は少なく、葬儀後の石の話だけでなく供養全般について相談されることが多いです。
その為知識面では、お墓や石のことはもちろんお寺の仕組みや仏教のしきたり、宗派ごとの作法まで幅広く必要になります。
初めてお墓の業界に入った人は、必要な知識と業界構造の特殊さゆえ戸惑うことが多くありますが、一定の知識と経験を積んでしまえば決して難しいものではありません。
面白い業界ではありますので、少しでも興味を持ってもらえると幸いです。